4月1日はエイプリル・フール・デイです。この習慣はヨーロッパが発祥である事は想像できますが、いつ頃、どこで、どんな事が切っ掛けになって始まったのか諸説が別れています。この習慣が日本に紹介されたのは古く江戸時代からで、当時は「不条理の日」といい、普段、付き合いや義理を欠いている失礼をわびる日とされていました。軽い悪戯でうそをついたり人をかついだりしてもとがめられないという風習が18世紀頃から欧米で起こり日本にも大正時代に伝わってきました。「万愚節」などといっていたときもあったそうですが今では「エープリル・フール・デイ」で、かつがれた人を「四月馬鹿」と呼んでいます。
エイプリル・フール・デイのルーツについては、いろいろな説が伝えられています。そのひとつが、ノアの箱船を起源とするものでノアは洪水がおさまってきた頃を見計らって、陸地を探すためにハトを飛ばすのですがハトは陸を見つけられずにノアのもとへ戻ってきます。伝説ではこれが4月1日とされており、無駄なことをさせられる日だというものです。
一方、フランスでは、エイプリル・フールのことを「4月の魚(Poisson d'Avril)」といいます。一説によると、1564年国王シャルル9世がグレゴリオ暦を採用し一年のはじまりが4月1日から1月1日にうつされ、子どもたちは1月1日にお年玉をもらい、4月1日にはごまかしの贈り物をやりとりしたことから始まったとされています。また、4月生まれは魚座ではないことから、「4月の魚=嘘」となったとも、4月になって暖かくなると、魚がいともたやすくたくさん釣れることから由来している、ともいわれています。
エイプリル・フール・デイの起源は他にも、キリストがユダに裏切られたのを忘れないように設けられたというもの、一日だけ主人と使用人が入れ替わるという古代ローマの逆さまのお祭りがルーツというもの。ローマではこの日だけは主人が奴隷に仕え、道化師が聖職者になり、といった逆さまのどんちゃん騒ぎが行われたといいます。いつもなら身分の一番高い人が座る席に道化(FOOL)を座らせて無礼講の君主(The
lord of Misrule)としたことから、という異説もあります。
こうしたヨーロッパ起源説に対して、アジア由来の説もあります。その昔、インドの仏教徒たちは、3月25日から31日までの一週間、座禅を組んで修行をしましたが、つらい修行が終わった4月1日には、悟りの境地から再び迷いの世界に戻ってしまうため、からかいの行事を行うようになったというものです。
諸説がうずまくエイプリル・フール・デイの起源ですが、洋の東西を問わず、嘘をついてもよい日ということには違いがないようです。欧米、特にヨーロッパでは、放送局や新聞社といったマスメディアまでが大嘘の報道を流す、という日本では考えられないようなおふざけが行われます。過去にあった報道では「火星人が来襲した」、「国連が財政不足解消のため月の土地を一般に販売する」、「市内の運河に鮭が押し寄せてきて手づかみで取れる」、「欧州合同原子核研究機関(CERN)で新粒子発見」などといったものがあったそうです。
嘘は嘘でも、あとで笑えるユニークなもの、悪気のない嘘にとどめておきたいものです。
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