■初鰹

「目には青葉山ほととぎす初鰹」と江戸中期の俳人山口素堂の句に詠まれている様に5月は初鰹の季節です。「女房を質に入れても食べたい初鰹」、などとけしからん言葉もあるほど、初鰹は江戸の初夏のの味を代表しています。
鰹は季節とともに海をめぐります。南の暖かい海に生まれ、2歳になった1月ごろ、フィリピン沖から黒潮に乗り、2〜3月に九州沖を北上、4月になると駿河湾沖でイワシを食べて丸々と太ります。そして5月ごろ静岡県や千葉県などの漁港に水揚げされるのがいわゆる「初鰹」です。この時期の鰹を「初鰹」と呼び珍重するようになったのは江戸時代からです。初物にことさらうるさかった江戸っ子たちは「初物を食うと75日長生きする」といってナス、キュウリにいたるまで初物食いに夢中になりました。中でも初鰹は、「75日」の10倍に当たる「750日」も長生きできるともてはやされたのです。

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