歌舞伎では、10月名古屋御園座、11月東京歌舞伎座、12月京都南座の各公演を顔見世興行と銘打ち、かなり豪華な座が組まれます。その中でも代表的なのは何と言っても12月の京都南座の顔見世興行で「吉例顔見世興行」としてよく知られており、そのため顔見世は、12月の季語に入っています。
「吉例顔見世興行」では正面玄関に「まねき」が掲げられます。「まねき」は隅から隅まで観客で埋まるようにとの願いから、役者の名前は隙間の少ない勘亭流と云う独特の書体で書かれます。この「まねき」は長さ1.8メートル、幅32センチメートルの檜板、つや出しのために清酒を混ぜた墨で一気に書き上げられます。
また、「総見」といって、京都五花街(先斗町、祇園甲部、祇園東、宮川町、上七軒)の芸妓・舞妓さんたちが、客席両側の桟敷席で盛装して観劇するのが毎年の恒例となっています。その様子はまさに百花繚乱で、この日を狙ってチケットを取るお客さんも大勢います。顔見世、総見は京都の冬に欠くことのできない風物詩です。芸妓さんや舞妓さんは総見でお目当ての役者さんの紋や名前の入った簪などを身につけます。
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