■お雑煮
お正月、卓を囲んでいただくおせち料理は楽しいもの。中でもお雑煮は家ごとに、また地方の風習によっても異なり興味深いものです。
普通お正月の三が日間祝いますが、家によっては6日までで七日粥以後は食べないという例もあります。年迎えをするために年越しの夜、神に供えたものを下ろして煮込んで食べた名残りと言われ、『守貞漫稿』(嘉永六年)には「雑煮、本名を“ほうそう”といふなり。五臓を保養するの意にて、保臓と書すなり」などの記載があります。各地によってしきたりが違い、大体関西では丸餅を、関東では切り餅を使うようです。また、餅を煮るのに関西では味噌汁、関東ではすまし汁を、裏日本ではあずき汁を用いる場合もあり必ずしも一定していません。近年ではしきたりや家例にこだわらない自由さもある一方、次第に伝統や地方色が失われていきつつあります。
『何の菜のつぼみなるらむ雑煮汁』(室生犀星)
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